コラム

公開日 2025.07.30 更新日 2025.07.30

不動産業で独立・開業するまでの流れや成功するためのポイントを解説

不動産業での独立を検討されている方にとって、開業までの具体的な流れや必要な準備、成功するためのポイントを知ることは大切です。新たに不動産売買の仲介業への参入を考えている方は、独立後の収益性や失敗リスクについて不安を感じていることでしょう。

 

本記事では、不動産業で独立・開業するための具体的な手順から、成功している経営者の共通点、注意すべきポイントを解説します。独立への第一歩を踏み出すために、ぜひ参考にしていただき具体的な行動計画を立ててください。

 

目次

なぜ不動産業の独立・開業は魅力的なのか

不動産業界で独立を目指す人が多いのは、ほかの業界にはない特有の魅力があるためです。

 

ここでは、不動産業の独立が持つ3つの魅力を紹介します。

 

  • 少資本無在庫で始められるから
  • 成果が収入に直結するから
  • 経験や知識を直接生かせるから

 

これらの要素が、多くの人にとって独立への挑戦を後押しする理由となっています。

 

少資本無在庫で始められるから

不動産業の大きな魅力は、比較的少ない元手で事業を始められることです。飲食店のような高額な設備投資や、小売業のような商品在庫を抱える必要がありません。事務所と通信環境さえあれば、事業をスタートさせることが可能です。

 

開業時にかかるおもな費用は、事務所の契約金や備品代、広告費などです。在庫を抱えるリスクがないため、運転資金の負担も抑えられます。このように、初期投資が少ない点は独立を目指すうえで大きなメリットといえるでしょう。

 

成果が収入に直結するから

自分の努力が直接収入に反映される点も、不動産業の大きなやりがいです。会社員の場合、個人の成果が給与に反映されるまでには限界があります。しかし独立すれば、仲介手数料などの売上が直接自分の収益になるからです。

 

大きな契約を成立させれば、その分だけ高い報酬を得られます。成果次第で、会社員時代を大幅に上回る年収を実現することも夢ではありません。このように、上限のない収入を目指せる可能性は、独立を志す人にとって魅力的です。

 

経験や知識を直接生かせるから

これまでのキャリアで培った経験や知識を、そのまま独立専門知識で課題を解決するコンサルティング事業後の事業に生かせます。不動産業界で働いた経験があれば、業務の流れや専門知識はすでに身についているでしょう。過去に築いた人脈や顧客情報も、独立後の大きな財産です。

 

とくに、特定のエリアでの営業経験や、売買・賃貸といった得意分野がある場合、それを強みとして事業を展開できます。ゼロからのスタートではないという安心感は、精神的な支えにもなるでしょう。自身のスキルを武器に戦える点は、独立を現実的な選択肢にしています。

 

11年連続で増加している宅建業者数

不動産業界への新規参入は活発で、宅地建物取引業者の数は増加傾向にあります。「令和6年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計」によると、業者数は13万2,291に達し、11年連続の増加となりました。

 

内訳を見ると、法人事業者が1.9%増加する一方で、個人事業者は2.9%減少しており、業界の法人化が進んでいることがうかがえます。新規免許取得が開業数を押し上げており、業界全体としては着実な成長が続いている状況です。

 

不動産業界の廃業率は約2.9%

事業の継続しやすさも不動産業界の特徴ですが、廃業する事業者がいないわけではありません。

 

令和6年度末の統計では、1年間で純粋な「廃業」により市場から退出した事業者は3,826業者でした。これは業者数全体(132,291業者)に対する約2.9%に相当します。一方で、「廃業」に「期限切れ」や「免許取消」を加えた、廃業などの理由により市場から退出した事業者全体は4,555業者でした。その内訳は、「廃業」が3,826業者、「期限切れ」が625業者、「免許取消」が104業者となっています。

 

とはいえ、同期間の新規免許取得業者数は6,383業者にのぼります。廃業数を新規参入が上回っていることが、業者数が増加している直接的な要因です。

 

参考資料:令和6年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について

不動産のおもな事業内容とビジネスモデル

不動産業と一言でいっても、その事業内容は多岐にわたります。独立・開業する際は、どの分野を主軸にするかを明確にすることが成功の鍵です。ご自身の経験や強み、そして目標に合わせて事業領域を選ぶ必要があります。

 

ここでは、不動産業の代表的な5つの事業内容とその特徴を解説します。

 

  • 貸主と借主をつなぐ賃貸仲介事業
  • 売主と買主をつなぐ売買仲介事業
  • オーナーを代行する不動産管理事業
  • 物件を直接仕入れる買取再販事業
  • 専門知識で課題を解決するコンサルティング事業

 

それぞれのビジネスモデルを理解し、自分に合った事業形態を見つけましょう。

 

貸主と借主をつなぐ賃貸仲介事業

賃貸仲介は、アパートやマンションなどを借りたい人と貸したい人を結びつける仕事です。おもな収入源は、契約が成立した際に双方から受け取る仲介手数料となります。比較的少ない資金で始めやすく、未経験者でも参入しやすい分野です。

 

事業を安定させるには、継続的に物件情報と入居希望者を集める仕組みが欠かせません。そのため、広告宣伝やWebサイトの活用が有用です。多くの顧客と接するため、丁寧な対応やコミュニケーション能力が求められる事業です。

 

売主と買主をつなぐ売買仲介事業

売買仲介は、土地や戸建て、マンションなどの不動産を売りたい人と買いたい人の間を取り持つ事業です。賃貸仲介と同様に、契約成立時の仲介手数料が収入源となります。取引額が大きいため、一件あたりの手数料も高額になるのが特徴です。

 

高収入を狙える一方で、契約成立までの期間が長くなる傾向があります。また、法律や税金など、より高度で専門的な知識が求められるでしょう。お客様の人生の大きな決断に関わるため、高い倫理観と責任感が不可欠な仕事といえます。

 

オーナーを代行する不動産管理事業

不動産管理は、賃貸物件のオーナーに代わって、物件の維持管理や入居者対応などを行う事業です。毎月決まった管理手数料が収入源となるため、安定した収益基盤を築きやすいのが大きなメリットといえます。

 

おもな業務は、家賃の集金やクレーム対応、退去時の手続き、建物の清掃や修繕など多岐にわたります。仲介業と兼業することで、事業の安定化を図るケースも多いです。オーナーとの信頼関係を長期にわたって築くことが成功の鍵となります。

 

物件を直接仕入れる買取再販事業

買取再販は、中古物件を直接買い取り、リフォームやリノベーションを施して価値を高め、再度販売する事業です。仕入れ価格と販売価格の差額が利益となります。自分のアイデアで物件の価値を大きく向上させられる、創造性の高い仕事です。

 

大きな利益を期待できる一方、物件を買い取るための多額の資金が必要になります。また、売れ残った場合は在庫として抱えるリスクも伴うでしょう。市場の動向を正確に読み解く力や、物件の価値を見極める確かな目利きが求められます。

 

専門知識で課題を解決するコンサルティング事業

不動産コンサルティングは、専門的な知識や経験を生かし、お客様の不動産に関するさまざまな課題解決を支援する仕事です。たとえば、土地の有効活用や投資、相続対策などの相談に応じ、最適な提案を行います。

 

この事業は、豊富な実務経験と高度な専門知識がなければ成り立ちません。成功すれば、高い報酬と顧客からの絶大な信頼を得られます。不動産業における豊富なキャリアを持つ人が、その集大成として取り組むケースが多い事業といえるでしょう。

 

不動産業の独立・開業に向いている人の特徴

不動産業での独立・開業は、誰にでも成功が約束されているわけではありません。経営者として成果を出すためには、いくつかの素質が求められます。

以下に、不動産業での独立に向いている人の4つの特徴をあげます。

  • 高い営業力と行動力がある人
  • 自己責任で物事を考えられる人
  • 変化をおそれず挑戦を楽しめる人
  • 人脈作りや交渉が得意な人

これらの特徴に当てはまる部分が多ければ、独立への適性があるといえるでしょう。

 

高い営業力と行動力がある人

独立後は、自ら仕事を取りに行かなければ売上は生まれません。そのため、お客様に価値を提案し、契約に結びつける高い営業力は必須のスキルです。加えて、積極的に情報収集したり、顧客訪問したりするフットワークの軽さも肝心です。

 

待っているだけでは何も始まりません。目標達成への強い意欲を持ち、自ら考えて行動できる人でなければ、厳しい競争の中で生き残ることは難しいでしょう。営業力と行動力は、独立後の事業を軌道に乗せるための両輪といえます。

 

自己責任で物事を考えられる人

会社員とは異なり、独立すればすべての意思決定を自分で行わなければなりません。事業の成功も失敗も、すべて自分の責任となるからです。そのため、他人のせいにせず、あらゆる結果を自分事として受け止める覚悟が求められます。

 

トラブルが発生した際も、冷静に原因を分析し、自ら解決策を見つけ出さなくてはいけません。このような当事者意識と責任感の強さは、経営者にとって不可欠な資質です。自分の判断で事業を動かしていく、という強い意志を要します。

 

変化をおそれず挑戦を楽しめる人

不動産業界を取り巻く環境は、法律の改正や市場の動向、新しいテクノロジーの登場など、常に変化しています。こうした変化に対応できなければ、事業を継続させることは困難です。古いやり方に固執せず、常に新しい知識を学ぶ姿勢が賢明です。

 

また、独立後は予期せぬ出来事の連続となるでしょう。そうした不確実な状況を悲観的に捉えるのではなく、むしろ楽しむくらいの気持ちで挑戦できる人が向いています。変化をチャンスと捉え、柔軟に対応していく力が成功を引き寄せられます。

 

人脈作りや交渉が得意な人

不動産業は、人と人とのつながりが要となる業界です。お客様はもちろん、物件情報を交換する同業者や、司法書士・税理士などの専門家との良好な関係が、ビジネスチャンスを大きく広げてくれます。

 

初対面の人とも円滑な関係を築けるコミュニケーション能力は、大きな武器となるでしょう。また、売主と買主の間に立ち、双方の利益を調整する交渉力も欠かせません。こうした対人スキルに長けている人は、独立後に大きく飛躍できる可能性を秘めています。

 

不動産業の独立・開業に向いていない人の特徴

独立・開業への憧れを持つことは大切ですが、一方で自身の性格や価値観が独立という働き方と合わない場合もあります。ミスマッチを防ぐため、どのような人が向いていないのかも知っておくと安心です。

 

ここでは、独立後に苦労しやすい人の4つの特徴を紹介します。

 

  • 安定志向でリスクを避けたい人
  • 会社の看板がないと営業できない人
  • 地道な事務作業や経理が苦手な人
  • 孤独な環境で働くのがつらい人

 

もし当てはまる項目が多い場合は、フランチャイズなどの選択肢も視野に入れるとよいかもしれません。

 

安定志向でリスクを避けたい人

独立後の収入は保証されておらず、自身の成果次第で大きく変動します。そのため、毎月決まった給料がもらえる安定した環境を望む人には、独立は精神的な負担が大きいかもしれません。

 

会社員と違い、社会保険料や税金もすべて自分で管理・納付する必要があります。こうした収入の不安定さや将来への漠然とした不安に耐えられない場合、事業の継続は困難です。リスクを許容し、不確実な状況を楽しめる覚悟がなければ、独立は厳しい道となるでしょう。

 

会社の看板がないと営業できない人

会社員時代に営業成績がよかったとしても、それは個人の力だけではない可能性があります。会社の知名度やブランド力・信用力が、お客様の安心感につながっていたケースは少なくありません。

 

独立後は、その「会社の看板」がなくなります。自分自身の名前と実力だけで、お客様からの信頼をゼロから勝ち取らなければなりません。会社のブランドに頼らず、個人の魅力で勝負できる人でなければ、独立後の営業活動は厳しいものになるでしょう。

 

地道な事務作業や経理が苦手な人

独立すると、営業活動以外にもやるべきことが山積みになります。たとえば、契約書の作成や重要事項説明書の準備、経費の精算や帳簿付けといった地道な事務作業は、すべて自分で行わなければなりません。

 

こうしたバックオフィス業務を疎かにすると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。営業のように華やかな仕事だけでなく、細かい作業も正確にこなす能力が求められます。地道な作業をいとわずに取り組める人でなければ、経営者として事業を続けることは困難です。

 

孤独な環境で働くのがつらい人

会社にいれば、困ったときに相談できる上司や、励まし合える同僚がいます。しかし、1人で独立すれば、基本的にすべての問題を自分自身で解決しなければなりません。そのため、孤独感に苛まれる経営者は少なくありません。

 

とくに、事業がうまくいかない時期は、精神的に追い詰められやすくなります。相談相手がいない環境で、強いプレッシャーに1人で耐え続ける覚悟が必要です。チームで働くことにやりがいを感じるタイプの人は、独立後の孤独な環境が大きなストレスになる可能性があります。

 

不動産業で独立・開業するまでの流れと必要な準備

不動産業で独立・開業するには、多くの手続きや準備が必要です。計画的に進めなければ、思わぬところでつまずく可能性があります。全体の流れを正確に把握し、着実に準備を進めていきましょう。

 

以下に、独立開業までに必要な6つの流れをまとめました。

 

  • 経営形態と業種形態を決める
  • 必要な資格と宅建士を準備する
  • 開業資金と運転資金を調達する
  • 事務所の設置と法人設立を進める
  • 宅建業免許の申請と保証協会に加入する
  • 営業開始までの全手順を把握する

 

これらを1つずつクリアしていくことが、スムーズな開業への近道です。

経営形態と業種形態を決める

まず、個人事業主として始めるか、株式会社などの法人を設立するかを決定します。個人事業主は手続きが簡単な一方、法人は社会的信用度が高いといったメリットがあります。事業規模や将来の展望を考慮して、最適な形態を選びましょう。

次に、どの事業を主軸にするかを決めます。賃貸仲介や売買仲介、不動産管理など、事業内容は多岐にわたります。自身の経験や強み、ターゲット顧客を分析し、どの市場で勝負するのかという戦略を明確にすることが、最初の一歩です。

必要な資格と宅建士を準備する

不動産業を営むには、事務所に従業員5名につき1名以上の割合で、専任の 宅地建物取引士(宅建士)を設置することが法律で義務付けられています。自身が宅建士の資格を持っていない場合は、有資格者を雇用しなければなりません。

宅建士は不動産取引における専門家であり、その存在は事業の信頼性に直結します。資格取得には一定の学習時間が必要です。独立を決意した段階で、計画的に資格の準備を進めることが賢明です。資格がなければ、事業を始めることすらできません。

開業資金と運転資金を調達する

独立には、事務所の契約金や備品購入などの「開業資金」が必要です。加えて、事業が軌道に乗るまでの間の経費を賄う「運転資金」も欠かせません。運転資金が尽きると、事業の継続は困難になります。

必要な金額は事業規模によって異なりますが、運転資金は6ヶ月分程度はあると安心です。自己資金だけで不足する場合は、日本政策金融公庫創業融資 や、地方自治体の制度融資などを活用する方法があります。余裕を持った資金計画を立てることが、成功の鍵です。

事務所の設置と法人設立を進める

不動産業を営むには、独立した事務所を設ける必要があります。自宅の一部を事務所にすることも可能ですが、居住スペースとは明確に区別されているなど、一定の要件を満たさなくてはなりません。

法人を設立する場合は、定款の作成・認証や、法務局での設立登記といった手続きを要します。これらの手続きは複雑なため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。個人事業主の場合は、税務署に開業届を提出します。着実に準備を進めましょう。

宅建業免許の申請と保証協会に加入する

不動産業を営むには、都道府県知事または国土交通大臣から 宅地建物取引業 の免許を受けなければなりません。免許の申請には多くの書類が必要となり、申請から交付までには1ヶ月以上かかるのが一般的です。

また、免許を取得したあと、営業を開始する前には保証協会へ加入するか、法務局に営業保証金を供託しなければなりません。多くの事業者は、費用負担の少ない保証協会への加入を選びます。これらの手続きをすべて終えて、ようやく営業を始められます。

営業開始までの全手順を把握する

これまでのステップを時系列で整理し、いつまでに何をすべきかという詳細なスケジュールを立てることが肝心です。たとえば、事務所の契約と免許の申請は並行して進めるなど、効率的な段取りが求められます。

事業計画の策定から始まり、資金調達や事務所の確保、法人設立・免許申請、そして保証協会への加入まで、すべての手順をリストアップしましょう。一つひとつのタスクを確実にこなしていくことが、スムーズな開業につながります。全体像を把握し、計画的に行動してください。

不動産業の独立・開業で成功するためのポイント

独立・開業を無事に果たしても、そこで終わりではありません。厳しい競争を勝ち抜き、事業を成功させ続けるためには、明確な戦略が不可欠です。成功している経営者には、いくつかの共通点が見られます。

ここでは、独立後に成功を掴むための5つのポイントを紹介します。

 

  • 独自の強みで他社と差別化する
  • 安定した集客の仕組みを構築する
  • 既存の人脈を最大限に活用する
  • 顧客との長期的な信頼関係を築く
  • 徹底した資金管理で経営を安定させる

 

これらのポイントを常に意識し、日々の経営に取り組むことが成功へとつながります。

独自の強みで他社と差別化する

多くの不動産会社の中からお客様に選ばれるには、「この会社に頼みたい」と思わせる独自の強みが必要です。たとえば、「単身女性向けの物件専門」や「〇〇エリアの戸建てなら誰よりも詳しい」など、特定の分野に特化するのも1つの戦略です。

「価格が安い」というだけでは、いずれ価格競争に巻き込まれてしまいます。あなたの会社が提供できる独自の価値は何かを考え抜き、それを分かりやすく発信することが大切です。他社にはない魅力を打ち出すことが、生き残りの鍵となります。

安定した集客の仕組みを構築する

事業を継続させるには、新規のお客様を安定して獲得し続ける仕組みが欠かせません。独立当初は知人からの紹介などで仕事が生まれるかもしれませんが、それだけに頼るのは危険です。

たとえば、地域の情報に特化したWebサイトやブログを運営したり、SNSで有益な情報を発信したりするなど、オンラインでの集客チャネルを育てることが効果的です。広告だけに頼らず、自社に興味を持ってくれる見込み客が自然と集まるような仕組み作りを目指しましょう。

 

既存の人脈を最大限に活用する

独立前に築いた人脈は、事業を始めるうえでの大きな財産となります。前職の同僚や取引先、友人・知人などに、あなたが独立したことを伝え、協力を仰ぐことが大切です。思わぬところから、お客様の紹介や有益な情報がもたらされることがあります。

 

また、弁護士や税理士、司法書士といった他業種の専門家とのネットワークも重要です。お客様の複雑な相談に応じられるよう、日ごろから信頼できる専門家との関係を築いておきましょう。人とのつながりが、あなたのビジネスを支える基盤となります。

顧客との長期的な信頼関係を築く

不動産業は、一度の取引で終わりではありません。お客様の満足度が高ければ、将来の住み替えや知人の紹介など、次のビジネスチャンスにつながる可能性があります。目先の利益だけを追うのではなく、長期的な視点を持つことが大切です。

契約後も定期的に連絡を取るなど、お客様との関係を維持する努力をしましょう。一人ひとりのお客様に誠実に向き合い、「あなたに頼んでよかった」と思ってもらうことの積み重ねが、何よりの宣伝になります。顧客との信頼関係こそが、安定経営の礎です。

徹底した資金管理で経営を安定させる

不動産業は、1件あたりの取引額が大きい分、入金サイクルが長くなる傾向があります。そのため、売上があっても手元の現金が不足する「黒字倒産」のリスクも考えなければなりません。日々の資金繰りを正確に把握し、管理を徹底することが求められます。

 

いつ、いくら入金があり、いくら支払いがあるのかを常に管理し、余裕を持った資金計画を立てましょう。また、無駄な経費を削減する意識も大切です。どんぶり勘定ではなく、数字に基づいた堅実な経営を心がけることが、事業を長く続けるための基本です。

不動産業の独立・開業時に注意すべきポイント

独立する際、会社員時代にはなかった多くの落とし穴が存在します。事前に注意すべき点を理解しておけば、失敗のリスクを大きく減らすことが可能です。とくに、独立したばかりの人が陥りがちな点を知っておきましょう。

不動産業での独立時に、とくに注意すべき5つのポイントを解説します。

 

  • 会社の看板と自分の実力を混同しない
  • 営業だけが仕事ではないと心得る
  • 売上の波を想定し資金を管理する
  • 1人ですべてを抱え込まず仕組み化する
  • 相談相手がいない孤独のリスクを知る

 

これらの注意点を常に念頭に置き、慎重に事業を進めていくことが大切です。

 

会社の看板と自分の実力を混同しない

会社員時代のお客様は、あなた個人の力だけでなく、会社の信用やブランド力を信頼して契約してくれた可能性が高いです。独立後は、その「後ろ盾」が一切なくなります。ゼロから自分自身の信用を築き上げる必要がある、と心に刻んでおきましょう。

 

「前の会社では売れたから大丈夫」という過信は禁物です。お客様は、あなたの会社がどのような会社なのかをシビアに見ています。誠実な対応を一つひとつ積み重ね、個人としての信頼を獲得していく謙虚な姿勢が、独立後の成功には不可欠です。

 

営業だけが仕事ではないと心得る

独立すると、あなたは営業担当者であると同時に、経営者になります。お客様を探す営業活動はもちろん、経理や総務・法務・マーケティングなど、会社を運営するためのあらゆる業務を自分で行わなければなりません。

 

「営業は得意だが、事務作業は苦手」では、事業は立ち行かなくなります。むしろ、売上を支えるバックオフィス業務の重要性を理解し、それらを正確にこなすことが経営の安定につながります。営業以外の仕事の多さと重要性を、あらかじめ覚悟しておきましょう。

 

売上の波を想定して資金を管理する

不動産業の売上は、毎月安定しているとは限りません。とくに売買仲介が中心の場合、契約が成立しない月は収入がゼロになる可能性もあります。こうした「売上の波」があることを、常に想定しておかなければなりません。

 

収入がない月でも、事務所の家賃や光熱費などの固定費は発生します。売上が好調な月に油断して贅沢をせず、将来の不測の事態に備えて十分な運転資金を確保しておくことが賢明です。計画的な資金管理が、事業継続の生命線となります。

 

1人ですべてを抱え込まず仕組み化する

1人で開業すると、すべての業務を自分自身でこなすことになります。しかし、人間の時間と能力には限界があるものです。すべてを完璧にやろうとすると、いずれ心身ともに疲弊し、業務が回らなくなってしまいます。

 

たとえば、経理は税理士に依頼する、定型的な事務作業はITツールを導入して自動化するなど、外部の専門家などの力を借りる視点が賢い選択です。自分がいなくても事業が回る「仕組み」を作る意識を持つことが、経営者としての重要な仕事といえます。

 

相談相手がいない孤独のリスクを知る

独立して経営者になると、会社員時代のように気軽に相談できる上司や同僚はいなくなります。重要な経営判断を、たった1人で下さなければならない場面も増えるでしょう。この「孤独」は、多くの経営者が直面する大きな課題です。

 

悩みを1人で抱え込まずに済むよう、意識的に外部とのつながりを持つことが大切です。たとえば、地域の経営者コミュニティに参加したり、信頼できるメンターを見つけたりするなど、いつでも頼れる相手を作っておきましょう。孤立しない環境作りが、精神的な安定につながります。

 

まとめ:不動産業の独立で不安な場合はフランチャイズ加盟も

不動産業での独立・開業には多くの魅力がありますが、成功の道のりにはさまざまな課題が伴います。集客や社員教育、経営ノウハウの不足といった悩みを、すべて独力で乗り越えるのは容易ではありません。こうした不安を解消し、成功への近道を示してくれるのがフランチャイズという選択肢です。

 

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