
不動産フランチャイズへの加盟は、大手ブランド力を活用できる魅力的な選択肢です。
しかし、安易な加盟は失敗につながりかねません。
加盟金やロイヤリティを支払ったにもかかわらず、期待した収益が上がらないケースも存在します。
本記事では、不動産フランチャイズでよくある失敗パターンと、その具体的な回避策を解説します。
ぜひ万全の準備を整え、成功への第一歩を踏み出すためにお役立てください。
不動産フランチャイズでよくある5つの失敗パターン
不動産フランチャイズへの加盟には多くのメリットがありますが、誰もが成功するわけではありません。
計画の甘さや見通しの誤りから、深刻な失敗に陥るケースも多く見られます。
ここでは、とくに陥りがちな5つの典型的な失敗パターンを解説します。
- 開業後に資金がショートする
- 想定した売上を確保できない
- 競合との競争に負け集客できない
- 本部との経営方針が合わない
- 本部に依存しすぎてしまう
これらは、加盟前に十分な準備をすれば防げる失敗です。
開業後に資金がショートする
もっとも多く、そして深刻な失敗が運転資金の枯渇です。
加盟金や店舗開設費用といった初期投資に資金を使いすぎ、開業後の運営費を十分に確保していないことが原因となっています。
不動産業は、すぐに売上が立つとは限りません。
売上がゼロでも、毎月のロイヤリティや家賃や人件費、広告費は発生します。
本部の収益予測を鵜呑みにせず、最低でも半年から1年分の運転資金を別に用意しておかなければ、事業が軌道に乗る前に資金ショートを起こしてしまいます。
想定した売上を確保できない
本部から提示される収益シミュレーションは、あくまで成功事例に基づいた理想値であることが多いものです。
この売上予測を現実的な根拠なく信じてしまうと、実際の売上とのギャップに苦しむことになります。
フランチャイズに加盟しても、本部のブランド力だけで自動的に顧客が集まるわけではありません。
立地や競合状況、地域のニーズによって売上は大きく変動します。
提示された予測の根拠を深く確認せず、楽観的な事業計画を立ててしまうことが、売上不振の大きな原因となります。
競合との競争に負け集客できない
大手の看板を掲げれば集客は安泰、と考えるのは危険です。
出店エリアの競合調査を怠ると、すでに地域で強い力を持つほかの不動産会社に顧客を奪われてしまいます。
また、契約内容によっては「テリトリー権」が設定されておらず、すぐ近所に同じフランチャイズの店舗が出店する可能性もあります。
本部ブランドに頼るだけでなく、地域特性に合わせた独自の集客努力や、他社との差別化戦略がなければ、厳しい競争に勝ち残れません。
自社ならではの強みを確立することが不可欠です。
本部との経営方針が合わない
加盟前に、フランチャイズ本部の経営理念や事業方針を深く理解していないと、のちに深刻なミスマッチが生じます。
フランチャイズは、本部の定めたルールやマニュアルに沿って運営するのが基本です。
しかし、オーナーが「地域密着で柔軟な対応をしたい」と考えても、本部が「全国一律の効率的な運営」を求めた場合、対立が生まれてしまいます。
経営の自由度が制限されることは、オーナーのモチベーション低下にも直結します。
契約前に、自分の理想とする経営スタイルと本部の方針が一致しているかを見極めなければなりません。
本部に依存しすぎてしまう
「加盟すれば本部が何とかしてくれる」という受け身の姿勢は、失敗の典型的な要因です。
本部は成功のためのノウハウやシステムを提供しますが、事業の最終的な責任はすべてオーナー自身にあります。
本部からのサポートを待つばかりで、自ら経営改善や集客努力を怠れば、業績は上がりません。
フランチャイズは、あくまで独立した経営者が本部の仕組みを「活用する」ビジネスモデルです。
本部任せの他力本願な考え方では、変化の激しい市場で生き残ることは困難でしょう。
失敗する加盟店オーナーに共通する特徴
フランチャイズの仕組み自体が失敗の原因となることもありますが、オーナー自身の資質や考え方が成功を遠ざけているケースも少なくありません。
ここでは、失敗しやすい加盟店オーナーに共通する4つの特徴を紹介します。
- 他力本願で主体性がない
- 自身の営業力を過信する
- コミュニケーション能力が低い
- 情報収集を怠ってしまう
これらの特徴に当てはまる場合は、とくに注意が必要です。
他力本願で主体性がない
フランチャイズに加盟すれば自動的に儲かると安易に考えている人は、失敗する可能性が高いです。
本部はビジネスモデルを提供するパートナーであり、経営を代行してくれるわけではありません。
業績が悪化した際に「本部のサポートが悪い」「ブランド力が足りない」と他人のせいにする傾向が見られます。
しかし、最終的な経営責任はオーナーにあります。
経営者としての当事者意識を持たず、主体的に行動できない人は、フランチャイズ経営に向いていないでしょう。
自身の営業力を過信する
不動産業界での営業経験が豊富なオーナーが陥りやすい罠が「営業力の過信」です。
前職で高い成果を上げていたとしても、それは会社の看板やサポート体制があったからかもしれません。
独立すれば、営業以外の経理や人事、マネジメントといった経営者としての業務が格段に増えます。
自身の営業力だけを頼りにし、本部の研修や経営ノウハウを軽視すると、組織全体の運営が立ち行かなくなります。
過去の成功体験に固執せず、謙虚に新しい知識を学ぶ姿勢がなければ、経営者としての成長は望めないでしょう。
コミュニケーション能力が低い
経営者は本部と従業員、顧客や地域の同業者など、多くの関係者と円滑な関係を築く必要があります。
とくに、本部とのコミュニケーションは大切です。
スーパーバイザーからの助言を素直に聞かなかったり、本部との良好な関係を築けなかったりすると、有益な情報やサポートを得る機会を失ってしまいます。
また、従業員のマネジメントにおいても、一方的な指示ばかりではスタッフのモチベーションは上がりません。
双方向の対話を軽視するオーナーのもとでは、組織はうまく機能しないでしょう。
情報収集を怠ってしまう
市場や法律、地域の動向は常に変化しています。
開業後も、経営者として最新の情報を学び続ける努力を維持しなければいけません。
本部の研修や加盟店同士の交流会は、貴重な情報収集の場です。
しかし、こうした機会を活用せず、自身の古い知識や経験だけに頼っていると、時代遅れの経営になってしまいます。
成功しているオーナーは、本部からの情報だけでなく、地域のニーズや競合の動きなど、自ら積極的に情報を集めて経営に生かしています。
不動産フランチャイズの失敗を回避する7つの対策
後悔しないフランチャイズ加盟を実現するために、実行すべき7つの対策を紹介します。
- 余裕を持った資金計画を立てる
- 現実的な収益予測を行う
- 出店エリアの商圏を徹底調査する
- 複数のフランチャイズ本部を比較検討する
- 契約内容を隅々まで確認する
- 本部や加盟店ネットワークを活用する
- 経営者としてのスキルアップを続ける
それぞれ見ていきましょう。
余裕を持った資金計画を立てる
資金計画は、失敗を回避するための最重要項目です。
初期投資(加盟金や店舗改装費・保証金など)に加え、必ず運転資金を別に確保してください。
運転資金の目安は、家賃と人件費、ロイヤリティや広告費などの固定費の最低6ヶ月分、できれば1年分を用意しましょう。
自己資金だけで不足する場合は、融資も検討しますが、その際も借入は必要最小限に留めるべきです。
開業直後は売上が不安定になることを前提に、キャッシュが尽きないよう保守的な資金計画を立てることが欠かせません。
現実的な収益予測を行う
本部が提示する収益シミュレーションを鵜呑みにしてはいけません。
必ず「その数字の根拠は何か」を具体的に確認しましょう。
たとえば、同じ地域の既存店の平均売上データや、予測の前提となる成約件数、客単価などを開示してもらいます。
そのうえで、自分自身でも売上は本部の予測の8割程度、経費は多めに見積もるなど、保守的な厳しい基準で収益予測を立て直すことが賢明です。
現実的な数字を把握することで、開業後のギャップを最小限に抑え、冷静な経営判断が可能になります。
出店エリアの商圏を徹底調査する
本部から出店候補地を提案された場合でも、必ず自分の足で商圏調査を行ってください。
調査すべきは、地域の人口動態や競合他社の数と強み、家賃相場と地域の不動産ニーズ(賃貸が多いか、売買が多いかなど)です。
本部は加盟店を増やすために、必ずしも最適とはいえない場所をすすめる可能性もゼロではありません。
そのエリアで本当に本部のブランドが通用するのか、競合に勝てる見込みはあるのかを、客観的なデータと現地の肌感覚で判断することが肝心です。
複数のフランチャイズ本部を比較検討する
1社だけの説明を聞いて加盟を決めるのは危険です。
必ず複数のフランチャイズ本部を比較検討してください。
比較するポイントは、加盟金やロイヤリティ(定額制か歩合制か)といった費用面だけではありません。
本部の経営理念やサポート体制の具体的内容、ブランドの強みと経営の自由度、契約条件などを多角的に比べます。
それぞれのメリットとデメリットを並べてみることで、どの本部が自分の経営方針や目標にもっとも合っているかを冷静に判断できます。
契約内容を隅々まで確認する
フランチャイズ契約書は、署名する前に隅々まで読み込む必要があります。
とくに注意すべきは、ロイヤリティの正確な計算方法や契約期間、中途解約の条件と違約金の額です。
テリトリー権の有無、契約終了後の競業避止義務(同業種での開業制限)などもあげられます。
説明会での口約束は法的な効力を持ちません。
少しでも不明瞭な点や納得できない条項があれば、本部担当者に説明を求めましょう。
可能であれば、フランチャイズに詳しい弁護士などの専門家にリーガルチェックを依頼することも賢明な判断です。
本部や加盟店ネットワークを活用する
加盟したら、本部が提供するサポート体制を最大限に活用することが賢い選択です。
本部が実施する研修や勉強会には積極的に参加し、最新の業界情報や営業ノウハウを吸収しましょう。
また、スーパーバイザーは経営の相談相手として活用し、良好な関係を築くべきです。
さらに、ほかの加盟店オーナーとの横のつながりも有益です。
成功事例や失敗談を共有したり、経営の悩みを相談したりできる仲間がいることは、事業を継続するうえで大きな財産となります。
経営者としてのスキルアップを続ける
フランチャイズに加盟しても、あなたは「経営者」です。
営業スキルだけでなく、財務管理や人材育成にマーケティングなど、経営全般のスキルを継続的に向上させる努力が求められます。
本部の研修を活用するのはもちろん、自ら関連書籍を読んだり、外部のセミナーに参加したりすることも有効です。
市場環境や顧客のニーズは刻々と変化しています。
過去の成功体験に安住せず、常に学び続ける姿勢を持つことが、変化に対応し、持続的に成長する基盤となります。
評判のよくないフランチャイズを見極めて失敗を防ぐポイント
失敗を回避するためには、加盟する本部選びが重要です。
中にはサポート体制が不十分であったり、加盟店の利益を軽視したりする「評判のよくない」本部も存在します。
契約前にそうした本部を見極めるための3つのポイントを紹介します。
- ネット上の口コミや評判を調査する
- 契約内容や説明会の違和感を見抜く
- 既存オーナーの話との相違点を確認する
冷静に本部をチェックすることが大切です。
ネット上の口コミや評判を調査する
インターネットで、加盟を検討しているフランチャイズ本部の名前を検索し、口コミや評判を調査しましょう。
とくに「加盟店オーナー」や「元加盟店」からの声は参考になります。
もちろん、ネット上の情報は玉石混交であり、すべてを鵜呑みにするのは危険です。
しかし、「連絡が遅い」「サポートが手薄い」「説明と実態が違う」といった具体的な不満が多数見られる場合は、注意が必要です。
よい評判だけでなく、ネガティブな情報にも目を通し、その実態を多角的に把握するよう努めてください。
契約内容や説明会の違和感を見抜く
本部の説明会や営業担当者の話に少しでも違和感を覚えたら、立ち止まって考えるべきです。
たとえば、メリットばかりを強調し、リスクやデメリットについてほとんど説明しない場合は要注意です。
現実離れした高い収益モデルを提示したり、質問に対して曖昧な回答しか返ってこなかったりする場合も、誠実な本部とはいえません。
契約を急がせる、契約書の内容が説明と異なる、加盟金の返還規定が一切ないといった点も、不誠実な本部の特徴である可能性があります。
既存オーナーの話との相違点を確認する
もっとも信頼できる情報源は、実際にそのフランチャイズを経営している既存の加盟店オーナーの声です。
本部に依頼して複数のオーナーを紹介してもらい、直接話を聞く機会を設けましょう。
その際、本部が紹介する成功事例だけでなく、もし可能であれば業績が芳しくない店舗の話も聞けると理想的です。
本部から聞いたサポート内容や収益モデルが、現場のオーナーの実感と大きくかけ離れていないかを確認します。
もし本部側の説明と既存オーナーの話に大きな食い違いがある場合は、その本部の信頼性は低いと判断すべきです。
まとめ:不動産フランチャイズの失敗は万全な準備で防げる
不動産フランチャイズの失敗は、事前の準備と情報収集で防げます。
集客や社員教育、経営ノウハウの不足といった課題を解決するには、信頼できるパートナー選びが重要です。
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